連載 難しい症例のみかた・第5回
人工膝関節全置換術後に術後遷延性疼痛を認めた症例に対する理学療法
田中 創
1,2
,
今井 亮太
3
,
壬生 彰
4
,
西上 智彦
5
So TANAKA
1,2
,
Ryota IMAI
3
,
Akira MIBU
4
,
Tomohiko NISHIGAMI
5
1福岡整形外科病院リハビリテーション科
2愛知医科大学医学部疼痛医学講座
3大阪河﨑リハビリテーション大学大学院リハビリテーション研究科運動機能領域
4甲南女子大学看護リハビリテーション学部理学療法学科
5県立広島大学保健福祉学部保健福祉学科理学療法学コース
pp.1349-1353
発行日 2023年11月15日
Published Date 2023/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551203253
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はじめに
術後遷延性疼痛(chronic post-surgical pain:CPSP)は「組織治癒期間(少なくとも3か月)を超えた疼痛」と定義されており,「手術後に発症した疼痛,または手術によって増悪した疼痛」,「術前に存在しない疼痛,もしくはもともと存在したが術後に性質が変化した,または増強した疼痛」とされている1).整形外科疾患はCPSPの発症率が高く2),特に人工膝関節全置換術(total knee arthroplasty:TKA)後の発症率は11〜34%と報告されている3).
このTKA後におけるCPSPの発症には,術前の中枢性感作や破局的思考,術後急性疼痛などが影響する4〜6).しかし,TKA後に発症したCPSPを軽減するための有効な治療法は確立されていない.本稿では,福岡整形外科病院(以下,当院)におけるTKA後のCPSP症例に対する取り組みおよび理学療法に難渋した症例を紹介する.
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