書評
—藤原俊之(監),高橋哲也(編)—「《理学療法NAVI》リスクに備えて臨床に活かす 理学療法にすぐに役立つ薬の知識」
加藤 倫卓
1
1常葉大学
pp.995
発行日 2021年9月15日
Published Date 2021/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551202425
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
本書は整形外科的疾患,脳神経疾患,内部疾患,生活習慣病などのうち,理学療法士が臨床でよく担当する疾患や病態を厳選し,実際の臨床現場でのリハビリテーション医療に生かすための薬剤の知識の理解に焦点を絞って解説している.
病態ごとに具体的な症例を提示し,その一般的な特徴から,理学療法を施行するにあたっての医師からのリクエスト,そして,理学療法を行うにあたっての薬剤の注意点と効果的な進め方を,医師と理学療法士のそれぞれの視点から説明しており,すべての理学療法士にとって参考になる.また,全項目に共通して,多職種間で行われる臨床上でのやりとりがイラストを交えて記載されており大変読みやすく,その内容も医師から理学療法士へのサイン,問いかけ,助言,心の声など多彩に表現されており臨場感が感じられる.また,処方された薬剤がいつまで使われるか,病期による病態や症状の変化による薬剤の調整,理学療法中の事故を防ぐための中止基準やリスクマネジメント,そして理学療法上のポイントがわかりやすく記載されている.定評のある薬剤の専門書は詳細な解説が魅力ではあるが,理学療法士にとっては難解なものもある.しかし,本書はあくまで理学療法士の視点に立った内容となっており,このような形態の本は今までなかったと思われ,楽しみながら学習することができるのも魅力である.
Copyright © 2021, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.