連載 臨床実習サブノート 診療参加型臨床実習—「ただ見ているだけ」にならないように!・1【新連載】
人工股関節全置換術
岡 智大
1
Tomohiro OKA
1
1あんしん病院リハビリテーション科
pp.474-478
発行日 2021年4月15日
Published Date 2021/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551202287
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指導者は何を見ていて,学生に何を見てもらいたいのか
1.筋力や関節可動域の評価時
1)関節可動域
人工股関節全置換術(total hip arthroplasty:THA)患者は疼痛や筋力低下により,股関節や骨盤,脊柱などの緊張を高めた動作をしており,背臥位でも股関節周囲筋が緊張している場合があります.そのため,関節可動域評価を行う際には測定前に一度脱力を促し,背臥位で十分脱力した状態をしておくように心がけ,測定中も疼痛増悪や緊張亢進を起こさないように測定肢位や方法に注意し行っています.また,股関節の関節可動域は骨盤,腰椎の運動を含めた股関節複合体として捉えられるため,股関節機能低下の代償により隣接関節や対側股関節にも負担がかかり疼痛や可動域制限が生じることがあり,隣接関節や対側股関節評価も重要です.
関節可動域制限の要因は3つに分類されます.1つ目は筋緊張亢進です.THA後早期は手術侵襲による疼痛に対する防御性収縮や代償動作により股関節周囲筋に筋緊張亢進が生じやすく,関節可動域制限の原因となります.大腿直筋,大腿筋膜張筋,腸腰筋,大臀筋,中臀筋,小臀筋,外旋筋群,大腿二頭筋に生じやすく,術後急性期ではこれらの筋緊張を評価しています.
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