Close-up 理学療法士は再生医療に向き合えているか
膝軟骨再生医療と理学療法
木村 佳記
1
,
下村 和範
2
,
中村 憲正
3,4
Yoshinori KIMURA
1
,
Kazunori SHIMOMURA
2
,
Norimasa NAKAMURA
3,4
1大阪大学医学部附属病院
2大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学
3大阪大学国際医工情報センター
4大阪保健医療大学
キーワード:
軟骨
,
再生医療
,
理学療法
Keyword:
軟骨
,
再生医療
,
理学療法
pp.940-943
発行日 2020年8月15日
Published Date 2020/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551202008
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関節軟骨損傷の治療および軟骨再生医療
関節軟骨は,無血管組織で細胞数も少ないため,自己修復能力に乏しい.損傷を放置すると,高率に変形性関節症へ進行する.従来,軟骨損傷に対し骨髄刺激法が行われてきたが,線維軟骨での修復のため長期成績が不十分であった.近年,軟骨欠損に対する新しい治療として,さまざまな再生医療的アプローチが試みられている.自家軟骨細胞を培養して軟骨欠損部に移植する自家培養軟骨細胞移植術(autologous chondrocyte implantation:ACI)は,有効性が示されている一方で,従来の治療成績と有意な差がないとの報告もあり1),さらなる検討が望まれる.近年,骨髄,脂肪,滑膜などさまざまな組織から分離,培養可能な間葉系幹細胞(mesenchymal stem cell:MSC)による軟骨再生が注目されている.特に,滑膜組織から樹立されるMSCは,高い軟骨分化能を有するとされる2).さらに,新たな細胞源としてES細胞やiPS細胞に代表される多能性幹細胞を用いた軟骨再生研究も進められている.
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