Close-up 尿失禁に挑もう
男性の尿失禁に対する理学療法士の取り組み
松永 明子
1
Akiko MATSUNAGA
1
1東京大学医学部附属病院リハビリテーション部
キーワード:
前立腺全摘除術
,
腹圧性尿失禁
,
骨盤底筋トレーニング
Keyword:
前立腺全摘除術
,
腹圧性尿失禁
,
骨盤底筋トレーニング
pp.691-695
発行日 2020年6月15日
Published Date 2020/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201941
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高齢化社会の尿失禁
国立がん研究センターから発表されるがん罹患数統計において,2006年の前立腺癌罹患数1)は約4万2000人,2019年の予測2)では約7万8000人と急速に増加し,男性のがん罹患数第4位となっている.それに対し,2019年のがん死亡数予測では前立腺癌は第6位であり,前立腺癌はがんと診断されても適切な治療によりがんサバイバーとなる可能性が高く,私たち理学療法士が既往歴として目にする機会が多い疾患と言える.
前立腺癌の罹患年齢は70〜75歳が最も多く,次いで65〜70歳,75〜80歳といわゆるアクティブシニアと呼ばれる世代の男性に目立つ.早期前立腺癌の多くは自覚症状がほとんどないため,根治的前立腺全摘除術に対する期待は大きく,術後の尿失禁,性機能不全は,患者がこれまでの人生で築いてきた生活の質(QOL)を大きく損なう.
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