増大号特集 臨床整形超音波学—エコー新時代、到来。
2 はじめの一歩〈まずのぞいてみよう〉
—column—エコーをはじめたきっかけ
都竹 伸哉
1
1医療法人城東整形外科
pp.482
発行日 2020年5月25日
Published Date 2020/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408201669
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医者は何でも治してくれるスーパーヒーローだと思っていた.整形外科医は痛いと言われたら原因を見極め,「痛み止め・湿布」という万能薬で治してくれるものだと信じていた.しかし,しばしば「わからないけど,とりあえず」出され効かないこともあり,夢見ていたヒーローなんていないと気付いてしまった.そのような考えを変えてくれたのが,運動器エコーだった.エコーを使って診療することで痛みの原因を突き止め,その場で治すことができることに気付き,エコーを始めて整形外科に進む決心をすることとなった.
運動器エコーとの出会いは,初期研修医時代に心エコーを学ぶために参加したエコー研究会だった.ハンズオンまでの空き時間に偶然受けた講義は,当直明けで瞼が閉じかけていた私を一気に引き込んでいった.それは皆川洋至先生による,整形外科の常識を尽く覆す運動器エコーの講義だった.「靱帯や神経ってこんなに綺麗にみえるんだ!」という感動と,「水で痛みが治る⁉」という衝撃の連続.局所の痛みは局所で治すという考えのもと,痛みと真っ正面に向き合う姿はまさに憧れのヒーロー.心踊ってすぐに病院へ戻り手に取ったのは,セクタプローブではなくリニアプローブだった.しかし,みえない.講義で芸術のように映っていた絵を自分では出せず,達人にしかできない技だったのだと落胆したものだ.
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