特集 栄養を学ぶ—学際と実際
スポーツ栄養学と病態栄養学—相反する食事方法の接点を考える
沖田 孝一
1
Koichi Okita
1
1北翔大学大学院生涯スポーツ学研究科
キーワード:
サルコペニア
,
カヘキシー
,
栄養障害
,
スポーツ栄養
Keyword:
サルコペニア
,
カヘキシー
,
栄養障害
,
スポーツ栄養
pp.899-905
発行日 2019年9月15日
Published Date 2019/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201658
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はじめに
高齢の慢性心不全や慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD),慢性腎疾患(chronic kidney disease:CKD)・透析などの慢性疾患患者では,食欲不振,嚥下機能低下,消化・吸収不全,ポリファーマシーおよび安静時エネルギー需要の増加(呼吸筋疲労など)による栄養障害などが生じ,骨格筋量減少・萎縮を助長し,それらがさらに予後を悪化させることになる.従来の心不全の栄養管理ガイドライン[急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)]では,肥満の是正と減塩が中心であったが,現在では二次性サルコペニアおよびカヘキシー(悪液質,cachexia)を念頭に置いた栄養不良への介入方法が検討され始めている.
スポーツ栄養学は,概してevidence-basedの分野ではないが,身体をつくるためにインスリン分泌を促すglycemic index(GI)が高い糖質食と高タンパク質食を運動後30〜120分以内で摂取するGIとタイミングを重視した食事法は,その特徴の1つである.この考え方は,低GIと食後の運動を基本とする糖尿病や肥満治療のための食事法と相反するものであるが,サルコペニアやカヘキシーには有効かもしれない.本稿では,スポーツ栄養学と病態栄養学の接点について概説する.
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