特集 栄養を学ぶ—学際と実際
心身内科学と栄養
榊 弥香
1
,
菊池 春菜
1,2
,
宇都 奈々美
3
,
乾 明夫
3
Mika Sakaki
1
1鹿児島大学大学院医歯学総合研究科心身内科学分野
2都城リハビリテーション学院理学療法学科
3鹿児島大学大学院医歯学総合研究科漢方薬理学講座
キーワード:
グレリン
,
食欲
,
フレイル
,
人参養栄湯
Keyword:
グレリン
,
食欲
,
フレイル
,
人参養栄湯
pp.893-898
発行日 2019年9月15日
Published Date 2019/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201656
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はじめに
超高齢社会を迎えたわが国では,高齢者の健康寿命の延伸や介護予防は非常に重要な課題である.
65歳以上の高齢者が要介護状態となった主な原因として,「認知症」が最も多く,次いで「脳血管疾患(脳卒中)」,「高齢による衰弱」,「骨折・転倒」が挙げられる1).高齢による衰弱いわゆるフレイルや,骨折・転倒のリスク因子であるサルコペニアは,ともに低栄養が深く関与する.
日本において65歳以上の低栄養傾向の者[Body mass index(BMI)≦20kg/m2]の割合は16.4%であり,80歳以上では約20%に及ぶ2).また,リハビリテーション実施患者の30〜50%に低栄養の可能性があり,低栄養の場合,機能回復が不良で,再入院・死亡率が高いとの報告もあり3),高齢者の低栄養予防は非常に重要である.しかし,高齢者においては,栄養摂取が大事であることは理解していても食べたいという欲求(食欲)そのものが低下していることが多い.本稿では,高齢者の食欲不振の要因について述べるとともに,食欲不振に対するアプローチについて概説する.
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