特集 こんなときこそ漢方を!
【私のイチオシ処方】
緩和医療と漢方
星野 惠津夫
1
1ほしの内科 横濱関内クリニック
キーワード:
緩和医療
,
がん
,
芍薬甘草湯
,
補中益気湯
,
茯苓飲
,
人参養栄湯
Keyword:
緩和医療
,
がん
,
芍薬甘草湯
,
補中益気湯
,
茯苓飲
,
人参養栄湯
pp.1637-1640
発行日 2018年12月15日
Published Date 2018/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429201813
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
緩和医療における漢方治療の有用性
緩和医療は、古今東西のさまざまな医療技術によって、患者の苦痛を和らげる医療である。多彩な治療法のオプションを必要とするため、症状緩和に優れた漢方を治療に利用できる意義は大きい。がんの緩和医療では、がんと診断された後、積極的治療の時期から経過観察期、さらに終末期に至るまで、各病期に応じてシームレスな症状緩和を行うために、漢方はきわめて有用である。
がんおよび治療の影響で、気力と体力が低下したがん患者の状態を、筆者は「癌証」と呼んでいるが、「癌証」に対しては漢方薬の「補剤」が特効薬となる。補剤とは、弱った患者を元気にする漢方薬群である。補中益気湯・十全大補湯・人参養栄湯は三大補剤と呼ばれ、これらを適切に用いると、がん患者の症状の多くは緩和される。補剤として十全大補湯が頻用されるが、補中益気湯は消化器あるいは精神症状のある患者に、また人参養栄湯は呼吸器症状のある患者に、それぞれ有効な場合が多い。個別症状緩和のためには、以下のような漢方薬を試みる。
Copyright © 2018, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.