特集 消化器病漢方治療―理論と実践
4 .実践:漢方薬治療の実際―このように治療する (1)食欲不振―フレイルも含めて
宇都 奈々美
1
,
安宅 幸司
1
,
網谷 東方
1,2
,
乾 明夫
1
1鹿児島大学大学院医歯学総合研究科漢方薬理学講座
2鹿児島大学病院呼吸器・ストレスケアセンター心身医療科
キーワード:
食欲不振
,
人参養栄湯
,
補剤
,
機能性消化管障害
,
がん
,
フレイル
Keyword:
食欲不振
,
人参養栄湯
,
補剤
,
機能性消化管障害
,
がん
,
フレイル
pp.1377-1385
発行日 2018年9月20日
Published Date 2018/9/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000530
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食欲不振は消化器疾患でしばしば遭遇する重要な症状であり,体重減少をきたしやすい.基礎疾患の有無の精査後,食事療法,薬物療法が考慮される.食欲不振の第一選択薬は漢方であり,六君子湯,補中益気湯,人参養栄湯などの補剤が考慮される.骨格筋萎縮(サルコペニア)を主徴とする病態には悪液質が挙げられるが,社会の高齢化とともにフレイルが注目されている.フレイルは漢方でいう未病病態に近しく,多成分系を特徴とする漢方は,多様な身体疾患や不安・抑うつ・認知機能の低下など,心身両面の異常を示すフレイルの予防と治療に威力を発揮するものと期待される.本稿では補剤を中心に,その臨床の実際や作用機序・有効成分に関し,エビデンスを基に述べた.
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