特集 全体像を把握する
腰痛の全体像の把握
江戸 英明
1
Hideaki Edo
1
1Life Ready Physio
1Life Ready Physio
キーワード:
生物心理社会的モデル
,
フレームワーク
,
慢性腰痛
,
オーストラリア
,
クリニカルリーズニング
Keyword:
生物心理社会的モデル
,
フレームワーク
,
慢性腰痛
,
オーストラリア
,
クリニカルリーズニング
pp.469-477
発行日 2019年5月15日
Published Date 2019/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201539
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はじめに
本稿では,「腰痛の全体像の把握」を実践するためにはどのような思考プロセスが必要となるのか,筆者がオーストラリアでの理学療法教育・臨床を通じて学んだことを,筋骨格系クリニカルトランスレーションフレームワーク(musculoskeletal clinical translation framework1);以下,フレームワーク)を用いて紹介する.フレームワークは,西オーストラリア州にあるカーティン大学理学療法学科の学士・修士課程の教材として開発され,臨床推論を行ううえで重要な役割を担っている.
近年では,筋骨格系疾患を有する患者に対して,より包括的な視点での治療・介入を行う必要性が認知されてきている.その代表的な概念が,生物心理社会的モデル(bio-psycho-social model)2)であり,評価・治療を行ううえで重要な要素となる.臨床で痛みが慢性化しているような難渋する症例を担当した場合,従来の生物学的なアプローチのみでは好ましい結果が望めないことも多く経験する.生物学的な情報のみに限らず,心理社会的要因,身体活動,生活習慣などさまざまな要素を含めた適切な情報を得ること,それらの情報を解釈し,介入に取り入れることは,認知されてきているにもかかわらず十分に行われていない現状がある3〜5).それらの橋渡しの補助役として開発されたのがフレームワークである.
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