Japanese
English
症例報告
大腿骨転子部骨折後,痛みに対する破局的思考により回復が遅延した一症例の治療経過
The treatment course in a patient with delayed recovery by catastrophic thinking about pain after femoral trochanteric fracture: a case report
大島 埴生
1
Hanio Oshima
1
1岡山リハビリテーション病院リハビリテーション部
キーワード:
大腿骨転子部骨折
,
痛み
,
破局的思考
,
バリアンス
Keyword:
大腿骨転子部骨折
,
痛み
,
破局的思考
,
バリアンス
pp.411-415
発行日 2019年4月15日
Published Date 2019/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201525
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要旨 回復が遅延した大腿骨転子部骨折術後例に対して,精神・心理面を考慮した評価を行い,病態の分析を試みた.その結果,破局的思考の傾向があり,それが運動機能の遷延化,痛みの残存に関与していることが考えられた.そのため治療介入では,痛みに対する破局的思考を変換するため,痛みの経過やそのメカニズムに関する教育学的アプローチを行った.また痛みではなく,運動感覚に注意を向けた関節可動域練習を実施し,運動時の運動恐怖感の是正に努めた.当初は地域連携パスのプロトコールから逸脱していたが,介入後は速やかな運動機能の改善,疼痛の軽減がみられ,最終的にプロトコールに近い回復を示した.大腿骨転子部骨折における負のバリアンスの発生には疼痛の残存が指摘されている.本症例の結果からその要因には精神・心理的側面の関与が考えられるため,より包括的な視点での治療介入が必要となることが示唆された.
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