講座 理学療法に関するガイドラインupdate 2・1【新連載】
理学療法に関するガイドラインupdate—老年症候群
牧迫 飛雄馬
1
Hyuma Makizako
1
1鹿児島大学医学部保健学科理学療法学専攻基礎理学療法学講座
キーワード:
フレイル
,
サルコペニア
,
運動
Keyword:
フレイル
,
サルコペニア
,
運動
pp.71-77
発行日 2019年1月15日
Published Date 2019/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201431
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老年症候群とは
老年症候群(geriatric syndrome)とは,加齢に伴うさまざまな要因によって,自覚的あるいは他覚的に高齢者が呈する治療と同時に介護・ケアが重要となる一連の症状・所見を指す.老年症候群は,診断名による病態のみではなく,ADL能力の維持やQOLの向上を目的とする視点から捉えられることが多い.
老年症候群に共通する特徴として,① 原因が多岐にわたること,② 慢性的な経過をたどること,③ 高齢者の自立を著しく阻害すること,④ 簡単には治療・対処法が見出せないこと,などが挙げられる1).老年症候群は,発生する頻度が高い時期や対処方法によって,大きく3つに分類されることがある(図1)2).3つの分類では,① 主に急性疾患に付随する症候で若い人と同じくらいの頻度で起こるが,対処方法は高齢者では若い人と違って工夫が必要な症候群,② 主に慢性疾患に付随する症候で65歳の前期高齢者から徐々に増加する症候群,③ 75歳以上の後期高齢者に急増する症候でADLの低下と密接な関連をもち,介護が重要な一連の症候群,とされ,高齢者の複合的疾患構造を示しており,医療と介護の両面からの支援が必要であることを意味する.
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