特集 老年症候群と理学療法
老年症候群と高齢者医療
秋下 雅弘
1
Masahiro Akishita
1
1東京大学大学院医学系研究科加齢医学
キーワード:
超高齢社会
,
後期高齢者
,
要介護
,
フレイル
Keyword:
超高齢社会
,
後期高齢者
,
要介護
,
フレイル
pp.377-384
発行日 2014年5月15日
Published Date 2014/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106627
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はじめに
65歳以上の高齢者が総人口に占める割合,いわゆる高齢化率はついに24%を超え,超高齢社会の明確な定義はないものの,超高齢社会に突入したと考えてよいであろう.しかし,超高齢社会の抱える真の問題は高齢化率ではなく,75歳以上の後期高齢者の増加にある.図1に示すように,前期高齢者の人口は横ばい,さらには減少へ転じる一方で,後期高齢者は増え続け,2050年には全人口の4人に1人が後期高齢者という時代になる1).
その後期高齢者の半数は疾患を有し,30%は要介護状態にあるという状況は,今後数十年の医学・医療の進歩ではさほど改善しないと見込まれており,医療機関の多くが後期高齢者で占められることは避けられない.すでに全国の入院患者の半数近くは後期高齢者である.都市部の高齢化が今後顕著なことを考えると,大都市の基幹病院でも,今後は必然的に高齢者医療の波をかぶることになろう.このように,われわれが今後直面する高齢者医療は,元気に通院する前期高齢者ではなく,多くの疾患と老年症候群,日常生活障害を抱え,しばしば救急搬送される後期高齢者を主な対象としたものになると考えられる.本稿では,このような高齢者医療の中心軸である老年症候群について解説する.
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