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書評 —河村廣幸●編集—「リハビリに直結する! 運動器画像の見かた」
中川 法一
1
1増原クリニック
pp.263
発行日 2018年3月15日
Published Date 2018/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201150
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本書を初めて手に取りページをめくるたびに笑みを浮かべる自分に気づいた.「そうそう,こんな本を待っていたのだ!」という嬉しさが思わずこぼれたのだ.
シャウカステンに吊り下げられたX線写真にトレーシングペーパーで透写をさせられ,その行為に疑問を感じたことがある御仁は決して少なくないと思う.骨折線や臼蓋形成不全の部位を透写することに意味を見出せないなかで,その行為への適切な指導も示唆もなかった.医師の真似事をして何の意味があるのだという思いを持ちながら何年間も自己学習を進めるなかで,運動器障害の理学療法に必要な多くの情報が得られることがわかり,画像は今では欠かせない情報源の一つとなっている.医師が画像診断を行うのとは違い,私たちが画像を見る意味は,画像から損傷組織を推察し,運動療法を行ううえでの適応や禁忌(リスク)を考えるための重要な情報源であるからである.私たちが若かりしときに本書があれば,無駄なことを繰り返すような遠回りをせずに患者診療に画像情報が活かせたと思うと実に口惜しい限りだ.
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