特集 理学療法のプロフェッショナルをめざして
各分野での継続教育のあり方
4.呼吸器疾患分野のプロフェッショナルを育てる
高橋 仁美
1
Hitomi Takahashi
1
1市立秋田総合病院リハビリテーション科
キーワード:
呼吸理学療法
,
EBM
,
生涯学習
,
自己研鑽
,
職場環境
Keyword:
呼吸理学療法
,
EBM
,
生涯学習
,
自己研鑽
,
職場環境
pp.597-601
発行日 2017年7月15日
Published Date 2017/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551200919
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呼吸理学療法の嚆矢
日本に呼吸理学療法が導入されるきっかけとなったのは,スウェーデンに留学した医師の島尾忠男がSöderby病院(ストックホルム市立結核病院)で理学療法に遭遇したことによる.彼は1956年にスウェーデンの結核予防会により出版された『Physio Therapy in Chest Disease』(Bruce T著)を翻訳し,1957年に『肺機能訓練療法』1)を結核予防会から出版した.実にこれは日本に理学療法士養成校ができる以前の出来事である.
本書には体位療法,下部胸の呼吸練習,術前後の運動療法,排痰介助などが写真入りで詳細に解説されている.その内容は,現在行われている呼吸理学療法とほぼ同様であり,遜色がない.当時の手技が現在でもスタンダードに通用していることに,筆者は正直驚くとともに,もしかしたら呼吸理学療法は理学療法士という集団のなかで,個々の理学療法士の経験が物を言うといった世界で行われてきて,これらの経験則の探究や検証については十分に行われていないのではないか,と自戒の念を抱いたのも事実である.
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