とびら
あの人のように
瀬崎 学
1
1新潟県立新発田病院リハビリテーション科
pp.993
発行日 2016年11月15日
Published Date 2016/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551200702
- 有料閲覧
- 文献概要
当時学生だった私は臨床実習最後,三期目の国立大学病院に向かうため,冴えない表情で地下鉄丸ノ内線に乗る.一期目・二期目と思うような実習を行うことができず,実習指導者や担当症例の方々にも迷惑をかけ,理学療法士になるため向学する最終学年の11月にしてはあまりにも後ろ向きの気分であった.
しかし,三期目の実習地で前進する契機は与えられた.実習地で私に求められたことは,とにかく「考える」ことであった.実習期間中,1〜2時間は見学などを行わなくてよい自由な時間を与えられ,その間「なぜそうなるのか? 仮説はそれでよいのか?」といったように思考しながら,日々実際の臨床場面で感じとった疑問を追究していった.当時はまだインターネットもない時代だが,広大な大学図書館に入ることも許され,時間がかかりつつも自らの手で文献を探し出し新たな知識を習得していく,という知的興奮に触れる端緒も得た.
Copyright © 2016, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.