入門講座 重複疾患症例のみかた・2
機能評価—診断名にない症状も含めて
重田 暁
1
Kyo Shigeta
1
1北里大学北里研究所病院診療技術部リハビリテーション技術科
キーワード:
高齢化
,
ヒューマンエラー
,
POS
Keyword:
高齢化
,
ヒューマンエラー
,
POS
pp.1117-1125
発行日 2015年12月15日
Published Date 2015/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551200412
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はじめに
本邦において国民の高齢化は進み,厚生労働省の人口動態調査報告1)によると2013年の65歳以上の高齢者の全人口に占める割合は25.1%に達しており,出生数の減少と相まって今後も増加することが予測されている.また,全人口の総数における死亡原因としては,悪性新生物,心疾患,肺炎,脳血管疾患,老衰,不慮の事故,自殺,腎不全,慢性閉塞性肺疾患,大動脈瘤・大動脈解離と続き,高齢化を反映して内部障害による慢性疾患が多くを占めている.こうした背景のなか,高齢の症例において既往歴は複雑になり,羅患期間は長期化し,複数疾患の合併率も高く,さらに明確な診断名がついていないことも多い.
したがって,理学療法を開始する前の初診時の機能評価時には,疾患別リハビリテーションにおける主たる疾患の問題の把握とともに,重複疾患や併存症の可能性を常に頭の片隅に残しておくことが必要である.そこで,私見となるが機能評価の進め方と留意点について,症例を交えながら解説する.
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