特集 障害者権利条約の実現と理学療法
障害児教育の動向と理学療法士の役割
押木 利英子
1
Rieko Oshiki
1
1新潟医療福祉大学医療技術学部理学療法学科
キーワード:
療育
,
障害児支援
,
インクルーシブ教育
,
合理的配慮
,
障害者総合支援法
Keyword:
療育
,
障害児支援
,
インクルーシブ教育
,
合理的配慮
,
障害者総合支援法
pp.125-133
発行日 2015年2月15日
Published Date 2015/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551200117
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
患児とその家族は相互に強い影響を与え合っており,この影響を考慮に入れずに治療することは難しい.健康と疾患の管理において家族支援は重要である.
「子供に重篤な障害があり,療育が必要と伝えられた」「学校入学にあたって特別な配慮が必要と伝えられた」「生命維持や積極的なリハビリテーションのために手術などの治療選択を迫られた」などの状況において理学療法士が介入する場合も少なくない.こういう場合には大きなストレスや混乱,葛藤が生じやすく,家族関係が危険な状態に陥りやすい.しかし,こうした家族に対する適切な介入が患児・家族の不安を和らげ,治療への積極的な参加が促され,子供の自立,共生へとつながるのである.理学療法士がかかわるポイントは,もやもやした多くの情報や思いのなかから「現状で最適な療育,サポートは何か」を焦点化していく作業を家族とともに行うことである.患児を生物医学的観点だけで捉えるのではなく,その背景に存在する家族,地域や社会制度にも目を向けることが不可欠である.本稿では社会支援の観点から理学療法士の役割について考察する.
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.