臨床実習サブノート 臨床実習における私の工夫・4
人工股関節全置換術後症例の評価―私ならこうする
藤井 保貴
1
Yasutaka Fujii
1
1阪本病院リハビリテーション科
pp.660-667
発行日 2014年7月15日
Published Date 2014/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106703
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はじめに
私が学生時代に初めて評価をさせていただいた症例が,人工股関節全置換術(total hip arthroplasty:THA)後の方であった.はじめは関節可動域を測るだけでも怖くて,持ち方や評価の手順もばらばらでうまくできなかったが,それでも一生懸命に評価をした覚えがある.しかし,その方がどのような生活をしていたかはまったく思い出せない.今から考えると,画像所見や下肢機能だけに着目していたように思う.まさに「木を見て森を見ず」であった.
理学療法士になって21年が過ぎた今は,障害像と生活像を合わせた患者像を捉えつつ,個々の情報や評価結果から自分の知識と経験を合わせて統合し解釈することができる.いつの間にそうなったのだろう? 間違いなく働き出して数年後のことであり,学生時代にはなかなか患者像を捉えることができなかった.しかし,一つひとつの評価に一生懸命取り組んだことが大きな糧となっていることは間違いない.
私たちの時代とは違って,最近は臨床実習の参考となる文献の数が豊富で情報量もかなり多い.臨床実習において,よく「臨床と学校教育のずれ」を耳にするが,大事なことは学校教育で得た知識や技術の基礎をいかに理解して臨床実習に臨むかということである.そして,この基礎の土台の上に臨床ならではの診かたや技術を指導していくことが指導者の務めである.
本稿では,臨床実習生の視点でTHA術後症例の評価について,私なりの評価の考え方や工夫について述べていく.
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