講座 子供の理学療法・3
若年性特発性関節炎
根本 明宜
1
Akinobu Nemoto
1
1横浜市立大学附属病院医療情報部/リハビリテーション科
キーワード:
若年性特発性関節炎
,
小児リウマチ
,
リハビリテーション
Keyword:
若年性特発性関節炎
,
小児リウマチ
,
リハビリテーション
pp.651-657
発行日 2014年7月15日
Published Date 2014/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106701
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はじめに
若年性特発性関節炎(juvenile idiopathic arthritis:JIA)はこの20年で治療が大きく進歩した疾患である.1990年代のメソトレキセート(MTX),2000年代の生物学的製剤の導入と,炎症コントロールの改善により,関節変形を残さずに治癒する患児も増えている.リハビリテーション科を受診するJIAの患児は少なくなっており,特に新たな全身型の患児は見かけなくなっている.リハビリテーションの方針も慢性期に残ってしまった障害に対するリハビリテーションから急性期に障害を残さないためのリハビリテーションへと変化してきた.
小児リハビリテーションの対象では脳性麻痺が大部分を占め,他の疾患は比較的少なく,多くの療法士にとって治療する機会がないと思われる.JIAは数としては決して多くないが,頻度としては脳性麻痺に次ぐ疾患群である.しかし,診たことがないから診られませんということでは,患児にとっては治療機会の喪失であり,専門医のいる遠方の病院への通院は,患児や保護者にとって大きな負担である.
本稿では,子供のリハビリテーションで決して少なくないJIAについて概説し,そのなかで子供のリハビリテーションを組み立てる考え方,疾患治療の変遷への対応なども述べてゆく.
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