入門講座 義肢装具の適合・3
長下肢装具の適合
日野 工
1
Takumi Hino
1
1医療法人博愛会横浜病院リハビリテーション科
キーワード:
脳卒中
,
治療用下肢装具
,
足・膝継手
,
適合調整
,
補高調節靴
Keyword:
脳卒中
,
治療用下肢装具
,
足・膝継手
,
適合調整
,
補高調節靴
pp.641-650
発行日 2014年7月15日
Published Date 2014/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106700
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はじめに
長下肢装具(knee-ankle-foot orthosis:KAFO)の適応疾患は脊髄損傷後の対麻痺,急性灰白髄炎(ポリオ)後の弛緩性麻痺,脳血管障害(外傷を含む)後の片麻痺への使用が主に知られている.脊髄損傷への使用は,両外側股継手を用いたreciprocating gait orthosis(RGO,図1a),内側股継手付両側長下肢装具,Walkabout(ヒンジ式内側股継手),Primewalk(スライド式内側股継手,図1b)が代表的である.いずれの装具も移動補助手段や全身機能(臓器機能,運動器機能)の活性化目的で立位・歩行練習に実用的使用が行われている.
ポリオは,わが国では1980年以降,野生株による感染が根絶されたとされ,若い理学療法士には縁遠い疾患となっていると思われる.また,前述の事情によりKAFOを必要とする患者は加齢も相俟って減少しているが,技術の進歩とともに550gほどにまで軽量化が進んでいる(図1c).
一方,片麻痺への使用では,脳卒中治療ガイドライン1)によるKAFOの有効性の後押しもあり,病院常備用,カスタムメイドを問わずKAFOの臨床活用の割合が増えている.本稿では片麻痺のKAFO(支柱付)に論点し,その選択視点,適合と歩行促通に必要な適合調整,最近の動向を紹介する.また,筆者が活用しているプラスチックKAFOの適応と病態に対応した適合調整を述べる.
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