特集 老年症候群と理学療法
老年症候群の理学療法評価
大渕 修一
1
,
柴 喜崇
2
Shuichi Obuchi
1
1東京都老人総合研究所
2北里大学医療衛生学部
キーワード:
老年症候群
,
生活機能評価
,
日本人高齢者
Keyword:
老年症候群
,
生活機能評価
,
日本人高齢者
pp.385-395
発行日 2014年5月15日
Published Date 2014/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106629
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
老年症候群は加齢に伴う生活機能の低下である.したがって,生活機能低下を主たる治療対象としている理学療法にとって老年症候群の評価は新規的なものではない.ただし,超高齢社会が進むことによって,これまで生活機能低下が著明となった者の評価から,それが明らかになる手前で,すなわちおそれのある者に対しての評価まで範疇が広がるところが新規的なところである.
例えば,Lawton1)が1972年に示した能力の諸段階(図1)であれば,これまでの理学療法士は,バイタルサインに始まる生命維持から食事,身づくろい,移動といった身体的自立までを主な評価対象としてきたが,手段的自立,状況対応(知的能動性),社会的役割などより高次の生活機能の評価が求められる.加えて高齢期の生活機能低下は,例えば運動機能のみ単要因の低下ではなく,複数の要因から構成される.すなわち運動機能に加えて,栄養状態,認知機能,社会・心理機能,口腔機能などの包括的(comprehensive)な評価が求められることが新規的である.
Copyright © 2014, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.