とびら
受け継ぐ
畠 康博
1
1市立加西病院リハビリテーション科
pp.1049
発行日 2013年12月15日
Published Date 2013/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106486
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先日,勤続20年の記念に年老いた両親と伊勢神宮を参拝した.この伊勢神宮では,今年,お社を新たに建て替えるのをはじめ,着物や日用調度品などもすべて新しくして,御神体を遷す「式年遷宮」が行われた.「式年」とは定められた年という意味で,伊勢神宮では20年に一度行われ,神道の理由は別にして,伝統技術や儀式,その作法や芸能を守るための20年とされている.これが100年ごとでは,以前に「遷宮」にかかわった者からの生きた技能の伝承が行われないが,20年ごとであれば必ず人から人へと技能の伝承が行われる流れがあり,これを繰り返すことで1,300年間,伝統の技,一流の技能が承継されてきたのである.
一方,日本の理学療法は約半世紀の歴史を迎えようとしており,知識や技術は飛躍的な進歩を遂げ,今もなお有資格者を増やしながら発展している.超高齢社会の到来と高度な医療の進歩により医療を取り巻く環境も一段と多様化したことが,理学療法に少なからず影響を及ぼしている.これら時代が求める理学療法技術や資質の向上が注目されるなか,対象者や社会の期待に応えるための努力は個々の課題でもある.この時代の流れのなかにあって,そして半世紀の中間に位置する者として,受け継いだものと伝承すべきものは何であろうか.
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