臨床実習サブノート 理学療法をもっと深めよう・8
脳血管疾患患者の生活を理解する
小林 量作
1
Ryosaku Kobayashi
1
1新潟医療福祉大学医療技術学部理学療法学科
pp.1033-1041
発行日 2013年11月15日
Published Date 2013/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106478
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はじめに
障害者の生活をイメージするとは,どういうことであろうか.学生に「担当患者の自宅での生活はどうなるのか」と質問しても,多くの学生は将来の生活をイメージできない.生活という用語があまりにも漠然としており,指導者の考える生活の範囲と学生の考える生活の範囲は異なっている可能性がある.そのことは,すでに用語の理解というスタート位置でギャップが生じていることになる.学生はなぜ高齢障害者の生活をイメージできないのだろうと考えるとき,この生活という用語理解の多様性と,人生経験も浅く臨床未経験の者が,入院入所の生活,退院後の在宅生活をイメージすることは困難と言わざるを得ない.学生は,このような制約の中で生活を漠然とイメージするのではなく,できるだけ客観的な情報に基づいて論理的にイメージする,つまり「推測」する練習が必要になるだろうと考える.
論理的にイメージするには,常に理学療法の視点から「生活とは」「高齢障害者の生活とは」を考え,生活の「何を測り,評価して」,「何を目標に」,「何を指導するのか」筋道立てて考えるクセをつけておくことが必要である.
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