特集 ウィメンズ・ヘルスと理学療法士のかかわり
骨盤臓器下垂・脱に対する理学療法
田舎中 真由美
1
Mayumi Tainaka
1
1フィジオセンター
pp.875-878
発行日 2013年10月15日
Published Date 2013/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106435
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骨盤臓器下垂および脱の原因と症状
骨盤底部は多くの靱帯や筋膜により適切な位置で支持されている.しかし加齢や出産,外科的手術による神経損傷,肥満や便秘,重量物の持ち上げ,慢性的な咳など強度の腹圧が骨盤底部に長期にわたりかかることにより臓器を支える靱帯・筋膜が伸張され,肛門挙筋裂肛の下降,膣内より骨盤内臓器が脱出する性器脱を呈することになる.
軽度の下垂や脱症状であれば無症状のことが多いが,脱が進行すると脱出部位に応じた症状が出現する.子宮脱を呈したケースでは「椅子に座っていると坐骨の間に落ちてきた子宮があたり,とても不快感がある」「朝方は良いけれど,夕方すぎになると落ちてきて気持ちが悪い」などの訴えもある.骨盤臓器脱は重力により骨盤内の臓器が膣内に落ち込むことにより生じるので,寝ているときには症状は出ない.朝起きて午前中は良いが,午後になると調子が悪くなり症状が出現する方が多いのも骨盤臓器脱の特徴である.
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