特集 頸肩腕障害と理学療法
五十肩と理学療法
村木 孝行
1
Takayuki Muraki
1
1東北大学病院リハビリテーション部
pp.596-601
発行日 2013年7月15日
Published Date 2013/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106342
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はじめに
一般的に五十肩とは,50歳前後の中高年が一定の期間だけ肩の疼痛により腕を動かせなくなる病態を示す.五十肩は,肩関節周囲組織に炎症が起きる病態の総称として用いられている「肩関節周囲炎」との違いが明確でなく混乱することが多かったが,画像診断の進歩により,鑑別が肩関節周囲炎とほぼ同義語として用いられている.また,五十肩は臨床症状の点から海外でfrozen shoulderやadhesive capsulitisと呼ばれる疾患と一致し,同様のものとして考えられている.本稿ではこれらすべてを含めて五十肩とする.
五十肩の罹患期間には個人差があるが,多くは時間が経てば症状が改善する疾患であるため放置していたり,市販薬やサポーターなどのみで対応していたりすることも少なくない.一方,五十肩患者が医療機関等を受診するときは症状が重度になったときや,疼痛がなかなか改善しないときであることが多い.したがって,医療機関で理学療法を行う主な対象は,放置していても治癒する軽症例よりも,介入しなければ改善しない重症例となる.腱板断裂のような治癒が期待できない他の肩疾患との比較として「治ってこその五十肩」と言われるが,必ずしも元のように戻るとは限らず手術適応となることもある.それ故に,漠然と理学療法を行うのではなく,病期に合わせて適切に介入できるよう努めなければならない.本稿では五十肩の病態を解説し,必要な評価とどのように治療を決定すべきかについて述べる.
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