書評
―奈良 勲・鎌倉矩子(シリーズ監修),冨田 豊(編)―「《標準理学療法学・作業療法学 専門基礎分野》小児科学 第4版」
近藤 敏
1
1県立広島大学保健福祉学部作業療法学科
pp.551
発行日 2013年6月15日
Published Date 2013/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106326
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本書の編集・執筆者である冨田豊氏は,1995年に開学した広島県立保健福祉短期大学の初代作業療法学科長として,現在の県立広島大学作業療法学科の礎を築かれた.冨田氏は臨床家,研究者,教育者の3つの立場を実にバランスよくもっておられる方である.当時,理学・作業療法士というご自身がこれまであまり接したことのないスタッフに囲まれながら,“医師にはない発想である”というADL(activities of daily living)に関心をもち,「重症心身障害児・者の機能障害とADL」について研究されていた.その後,この研究は「リハビリテーション医学」に原著論文として掲載されている.
また,助教の教育にことのほか熱心であった.大学の力は助教を育てることであると考え,学科全員の前で,よく助教への厳しい指導がなされていたが,これは間接的に講師以上の教員への教育でもあったと思われる.現在,小児領域の理学・作業療法士は,医療機関や福祉分野のみならず幼稚園や小学校などの教育機関に求められる職種となっている.4年前から始まった教員免許状更新講習において,本学では「特別支援教育講座」を開設しており,最も受講者の多い講座となっている.少子化にもかかわらず問題を抱える子どもはむしろ増えており,本学の附属診療所の小児科医は多忙を極めている状況にある.
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