臨床実習サブノート 理学療法をもっと深めよう・3
運動器疾患の上肢疼痛を理解する
尾崎 尚代
1
Hisayo Ozaki
1
1昭和大学藤が丘病院リハビリテーション部
pp.543-550
発行日 2013年6月15日
Published Date 2013/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106324
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頻度の高い愁訴=肩の痛み
日本人に最も頻度の高い愁訴は肩周囲の痛みである.なかでも肩こりは国民生活基礎調査では男女とも常に上位を占め,非常に多くみられる(図1).患者さんの愁訴は痛みであることがほとんどであり,機能障害だけを主訴に来院することはきわめて少ない.また,入院患者の理学療法場面でも,寝返りや更衣動作などで肩関節に痛みを訴える症例も多く,痛みのために理学療法プログラムの変更を余儀なくされることもあり,activities of daily living(ADL)の拡大が制限されることがある.
上肢機能は,ADLの自立度に大きく関与する重要な機能であり,肩関節周囲炎をはじめとする上肢の運動器由来の疼痛を伴う疾患は,整形外科疾患のみならずさまざまな病気でみられ(表1)1),理学療法士がかかわる機会は増えている.
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