特集 脳卒中理学療法のシームレス化にむけて
脳卒中急性期理学療法に期待すること―回復期理学療法の立場から
吉尾 雅春
1
Masaharu Yoshio
1
1千里リハビリテーション病院
pp.487-493
発行日 2013年6月15日
Published Date 2013/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106309
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はじめに
急性期病院にいるから見えるもの,急性期病院にいるから見えないもの,回復期病院にいるから見えるもの,回復期病院にいるから見えないものがある.病院あるいは病棟が機能分化され,一人の脳卒中患者を急性期から回復期,そして実際の生活の場へと続けて担当していくことができなくなって久しい.経験してわかること,経験したから注意できることがあるが,脳卒中患者について,縦断的な経験を積み重ねていくことができない時代になっている.
疼痛などの深刻な問題を起こすことは共有されていても,それが何故に生じているかを探求できていないことがある.あるいはその事象の基礎的な因子について,卒前教育のなかでも取り扱われていないものがある.その結果,半世紀近く同じ問題を繰り返している.
急性期で発生する疼痛や廃用性に関連する諸問題は,患者のその後のactivities of daily living(ADL)やquality of life(QOL)に大きく影響を及ぼす.本稿では,単に脳卒中急性期病院・病棟への期待を述べるにとどまらず,急性期理学療法にかかわるからこそもっていなければならない知識であるにもかかわらず,卒前教育でほとんど触れられることのない内容についても解説し,シームレス・リハビリテーション医療の実現を期待したい.
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