- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
2002年最後の雑誌をお届けします.
特集は「運動障害がある場合の内部障害への対応」です.特集テーマはその内容を正確に表すことはもちろんですが,キャッチコピーとして読書の皆様にその意図を魅力的に伝える役割をもっています.“名は体を表す”“看板に偽りあり”などその注目度が高いだけにセンスが問われるところでもあります.難しい内容を誰にでもわかる洗練された言葉で表現できることは,真の理解がなされたことの証ともいえましょう.
特集は,5名の理学療法士にご執筆いただきました.有薗・他論文では,全身持久力の評価を中心に詳細な解説をいただきました.表には具体的な方法が示されており,臨床的に応用しやすいものがまとめられています.増本・他論文では,拘束性呼吸障害について詳細に解説されています.高齢者や脳血管障害を対象者とする理学療法士には,参考になる内容です.木村論文では,代謝障害を中心に解説されていますが,理学療法のあり方にも一石を投じています.近年の高齢者に対する運動(療法)には,高強度負荷による筋力増強が支持され,わが国でも様々な医療機器の開発とともにそのプロトコールが紹介されています.一方,木村氏が述べているLIEP(低強度運動療法プログラム),LLL(局所長時間低強度)プログラムは生活習慣とあいまって重要な概念です.1本のロープが失明者の意欲と活動性を引き出したことを,豊かな時代であるからこそ大切にしたいと感じました.重田・他論文では,腎機能障害患者の症例検討を中心にわかりやすく解説されています.吉田論文では嚥下障害に対する理学療法について具体的に解説されています.脳血管障害で嚥下障害を有する例は少なくなく,全身をみるなかでその評価と治療を一般の理学療法士が行必要性と効果が述べられています.
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.