入門講座 コミュニケーション技術・3
理学療法現場におけるコミュニケーション分析のすすめ
沖田 一彦
1
,
菅原 憲一
2
,
越智 淳子
1
,
鶴見 隆正
1
Okita Kazuhiko
1
1広島県立保健福祉大学理学療法学科
2川崎医療福祉大学リハビリテーション学科
pp.683-688
発行日 2002年9月15日
Published Date 2002/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106114
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はじめに
現代では,すべての医療専門職に患者と効果的なコミュニケーションを図る能力が強く求められている1,2).医療現場におけるコミュニケーションの重要性は,以下の3点に要約できる.すなわち,1)それなしには医療者の知識・技術を診療に生かすことができない,2)それ自体に治療(癒し)の役割がある,3)医療のあり方が,一方的な“おまかせ医療”から医療者と患者のコミュニケーションに基づく医療へと変化してきている,である3).
このような事情が理学療法士(以下,PT)にも当てはまることは言うまでもない4,5),医療におけるコミュニケーションが医療者による型どおりの“技術的面接”によってではなく,会話を通した患者との相互作用の形で複雑に成立している事実を考えれば,効果的なコミュニケーションの展開のためには,様々なタイプの研究を実施して実際に行われているコミュニケーションの内容を分析し,その結果を教育に生かしていくことが不可欠となる6).しかしながら,理学療法現場におけるコミュニケーションを分析した研究は,欧米においては見受けられるものの7~11),わが国においてはまだ極めて少ないのが現状である.
そこで本稿では,理学療法現場で実施可能なコミュニケーション研究の方法を,筆者らが手がけてきたものを含め紹介するとともに,それを行うことの意義について解説する.
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