特集 低出生体重児の理学療法
NIDCAPの概念に基づいたNICUでの理学療法
井上 彩子
1
,
小林 麻子
1
Inoue Ayako
1
1(財)倉敷中央病院リハビリテーションセンター
pp.395-403
発行日 2002年6月15日
Published Date 2002/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106051
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はじめに
近年,低出生体重児の発達予後に関する多くの研究が行われてきた.環境と相互作用を行う能力を持つ低出生体重児にとって,光や音が溢れるNICU環境がその後の発達に大きく影響を与えると報告されている.それにより,子供の発達状態に合わせたケア環境や過程を調整するディベロップメンタルケアが注目され,個々の子供の能力を理解し,個々の子供に適したケアを提供するという意識が高まっている.一方,NICUでの低出生体重児やハイリスク児は病状が安定していないこと,複雑な行動を示すことから,能力を適切に理解することが難しい.そのため,理学療法士の治療的介入が子供たちにどのように受け入れられているか,また,それが適切なものであるかを判断することが困難であった.理学療法士の治療的介入を成功させるためには,子供の特徴や能力を適切に把握するとともに,介入時の子供の行動を見極める知識を必要とする.このように個別的に子供の能力を評価し理解するものとして,1981年にAlsによって,Newborn Individualized Developmental Care and Assessment Program(以下,NIDCAP)「新生児個別発達的養育および評価計画」が提唱された.
NIDCAPの概念と方法を以下に紹介し,それに基づいた理学療法の実際を症例を通して報告する.
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