報告
部分荷重歩行における股関節の関節合力変化―Chiari骨盤骨切り術後症例
永井 良治
1
,
野上 正太
1
,
上田 信弘
1
,
奥村 哲生
1
,
井上 明生
2
,
山本 耕之
3
Nagai Yoshiharu
1
1柳川リハビリテーション病院理学療法室
2柳川リハビリテーション病院整形外科
3久留米工業大学
pp.209-213
発行日 2002年3月15日
Published Date 2002/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106008
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はじめに
大転子を切離して側方から侵入するChiari骨盤骨切り術(以下Chiari手術1-4))の利点は,骨盤骨切り部で末梢骨の内方移動により,体重心のレバーアームを短縮させ骨頭にかかる力を減少すること,外反骨切り術など合併手術が容易に行えて骨棘や増殖性変化部位を荷重面として利用できることなどである.また大転子の側方移動によって外転筋のレバーアームを延長し,全体として荷重面の拡大と骨頭にかかる応力を軽減させる効果がある(図1).当院では,かなり進行したものでも,青壮年期であればChiari手術が積極的に行われている.術後は2週目よりトゥタッチ歩行(toetouch gait),全荷重となるには前・初期関節症で3~4か月,進行・末期関節症で6~9か月であるが,臨床において部分荷重歩行と関節合力の関係は明確でなく,力学的な解析を展開する必要が感じられた.
本稿の研究目的は,部分荷重歩行時に,股関節の関節面には実際どの程度の負荷が加わっているのか,力学的に検討し,理学療法を進めるうえでの一助にすることである.
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