プログレス
脊髄再生
西尾 健資
1
1京都大学大学院医学研究科認知行動脳科学
pp.135-137
発行日 2002年2月15日
Published Date 2002/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105989
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はじめに
本誌の読者の皆さんは「中枢神経線維がいったん切れてしまったら二度と元通りに繋がることはない」と考えていないだろうか?皆さんは患者さんに対して,ADLが少しでも改善するようにリハビリテーションをしておられると思いますが,心の中では「基本的にはこの麻痺は治らないだろう.ただ,残された筋肉の廃用性萎縮を防ぐため,あるいは切れた神経線維とは別の神経線維の連絡が少しでも繋がれば……」というような悲観的な考えに支配されていないだろうか?現在,臨床の場で四肢麻痺・片麻痺・対麻痺に苦しむ患者さんたちと直接向き合い,共に戦っておられる皆さんがこのように考えておられるのは当然であり,現実は厳しいものであると思います.
しかし最近では,「中枢神経線維も再生して元通りの線維連絡を獲得し,正常に近い機能回復も可能である」という夢のような話が現実になりつつあることを,この総説を通してご理解いただき日常のリハビリテーションの一助としていただければ幸いです.
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