特集 理学療法の効果判定
理学療法の効果判定―発達障害児の療育に焦点を当て
今川 忠男
1
Imagawa Tadao
1
1旭川児童院
pp.859-864
発行日 2001年12月15日
Published Date 2001/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105937
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「これまで」の療育と効果判定
発達障害児の「これまで」の療育とは,例えば脳性まひのこどもたちが持っている機能障害にのみ焦点を当てた手技であり,理学療法というより各種「訓練」法と呼ばれるものが主流を占めてきた.それらには,これまでPhelps,Fay,Doman,Kabat,Rood,Bobath,Vojta,PORTAGE,Petoなどを一群として列挙できる.それぞれには我田引水的に強調した理論背景があり,いわく「筋の伸長,装具,整形外科手術」「系統発生進化運動パターン」「対角線および螺旋的運動の固有受容器神経筋促通」「個体発生学的発達順序に従った運動のための感覚刺激」「異常反射抑制と正常運動促通」「反射反応,特に触覚,伸張,圧迫,抵抗による刺激を加えた寝返り,および這い這い運動」「誕生から6歳までのこどものための580項目の発達段階技能からなる家庭教育計画,訪問教師による教育と両親とこどもによる練習」「運動と言語機能を包括した指揮者と呼ばれる指導者による集団全日教育指導課程」といったものである.
この脳性まひの「訓練」法の有効性に関する研究が長年にわたって繰り返し要求されてきた.多くの研究が脳性まひと診断されたこどもたちを対象として行われてきた.すべての研究は従来からの集団調査形式で行われ,2集団に分類したこどもたちの比較と複数の評価尺度を用いている.評価尺度のうちいくつかは有効性が疑わしいものもあった.これらの研究はすべて結果において否定的か結論が出ないかのどちらかであったが,脳性まひ児の両親や介助者にとっては「訓練」法を求め続けるのをあきらめさせるものではなかった.
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