講座 「まち」をつくる側からの提言・3
高齢社会における「まち」と理学療法
中村 大介
1
Nakamura Daisuke
1
1昭和大学医療短期大学一般教養
pp.639-644
発行日 2001年9月15日
Published Date 2001/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105877
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1.はじめに
理学療法の最終的な治療ゴールは,高齢者・障害者が「まち」で自立した生活を送ることであろう.しかし実際には,高齢者・障害者が「まち」に適応した生活を送ることは難しい.それは「まち」や都市空間が,個別的な配慮の可能な住まいや居室と違い,より汎用性を重視した整備が求められるためであり,かりに高齢者・障害者に自発的な動因要求があったとしても,外的な建築的条件などによって行動が制限されたり,影響を受けやすいためである.また「心のバリア」といわれるように,「まち」や建物が人の心を閉ざす心理的なバリアをっくってしまうことも要因として考えられる.
本稿では,高齢社会における「まち」と理学療法との関わりについて考えるために,人間と環境の対応関係からみた生活環境の捉え方と建築分野で行われている福祉のまちづくりを紹介し,「まち」づくりの考え方,問題点を整理したうえで,その解決の展開や可能性として建築・都市のユニバーサルデザインについて述べる.
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