入門講座 家屋改造のポイント 1
家屋改造の基本的な考え方と取り組み
中村 大介
1
Nakamura Daisuke
1
1岡山県立大学短期大学部
pp.53-60
発行日 2006年1月1日
Published Date 2006/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100240
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はじめに
高齢者の「自立支援」や「在宅の重視」をうたう介護保険制度が平成12年にスタートしてから,住宅改修は自立生活度を向上させる切り札として急速に需要が増えた.これらは,生活者の主体性を尊重するのであれば,当然「介護を受ける」前に自立を可能とする環境整備が必要だという認識が高まったからともいえる.介護保険施行前にわれわれリハビリテーション(以下,リハビリ)担当者は,身体状況からみて自立可能な動作や介助が必要な動作と共に,身体機能からみて最善の生活動作を検討し,本人,家族,改修施行業者と協働で進めていた家屋改造において主導的立場にあった.しかし介護保険施行後はその役割がケアプラン立案者のケアマネジャーに代わり,リハビリ担当者が「住宅改修」を主導的に進めることは少なくなった.このような状況の中で,介護保険制度における「住宅改修」の数は飛躍的に増大したものの,個別対応の不可欠な家屋改造の質が担保されない可能性が指摘されるようになってきた1).
本稿では,これらを踏まえて,家屋改造の基本的な考え方の入門講座として,理学療法アプローチにおける家屋改造の基本事項を整理し,家屋改造を進めていくうえで留意するポイントについて解説する.
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