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編集後記
内山 靖
pp.374
発行日 2001年5月15日
Published Date 2001/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105811
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本号の特集は“Evidence-based practice in Physical Therapy”です.エディトリアルでも触れましたが,現代医療においては,IC,CP,TQM,EBMなどの横文字略語がキーワードになっています.医療の目標が対象者の幸福に寄与することでは古代から何の変わりもありませんが,その時代の社会のニーズにおいて直面する課題は異なっています.医療や福祉が一時の流行に右往左往したり,社会・経済状態に本質が歪められることは由々しき問題ですが,医療界だけが世間とかけ離れて安穏としてよいはずはありません.最近は,“EB”の後にその領域を示す英語をつけた記事が目にとまります(EB Nursing,EB Public Health,EB Laboratory Scienceなど).これはEBMのMを狭義の医学とすればそれぞれの領域を示すことになるでしょうが,医療と考えれば単に領域の違いのみを主張することにどれほどの意味を持つのかは慎重に考えなければなりません.
一般的に我が国では,EBMを“科学的根拠に基づく医療”と訳しています.これによって随分と堅苦しいイメージを持たれている臨床家が多いと聞いています.具体的には,学問的に確立した治療でなければ実施できないのか,型に填まった医療しかできなくなるのか,絶えず膨大な文献を整理しなければ臨床は成り立たないのか,などです.これに対して名郷先生はじめ特集記事全体で明快な答えを出しています.
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