入門講座 生活習慣病・4
高血圧症
荒川 規矩男
1
Arakawa Kikuo
1
1福岡大学
pp.265-269
発行日 2001年4月15日
Published Date 2001/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105781
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1.高血圧症と血圧値分類
血圧とは,心臓から送り出された血液が血管壁に与える圧のことで,心臓が収縮し,血液が血管に送り出された時の圧(収縮期圧)が正常では120mmHg前後,心臓が拡張した時でもまだ血管内には圧(拡張期圧)が70mmHg前後残っている.
精神的に興奮したり,肉体的に力んだりすると,血圧は一過性に上がるが,それがいつまでも上がりっぱなしで,収縮期圧が140mmHg,拡張期圧が90mmHgの線をいずれか一方でも越えると,高血圧症という.これは1993年にWHO(国際保健機構)とISH(国際高血圧学会)が共同して,それまでの定義を改訂して決めたもので,今日では世界中でこれが基準となっている(図1)1).そして収縮期圧が20ミリずつあがるごとに軽症→中等症→重症となり,拡張期圧のほうも10ミリずつ上がるごとに同様にグレードアップする1).
一方,収縮期圧140/拡張期圧90mmHg未満であれば正常血圧であることも1993年の改訂以来変わりないが,そのなかの高血圧の直下の区域(すなわち,収縮期圧が139~130mmHg,拡張期圧が89~85mmHg)を「正常高値」と呼ぶこととなった2).
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