特集 悪性腫瘍治療の進歩と理学療法
癌患者の包括的な理学療法
加藤 好道
1
,
新井 雅信
1
Kato Yoshimichi
1
1NTT東日本関東病院リハビリテーション科
pp.686-690
発行日 2000年10月15日
Published Date 2000/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105635
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1.はじめに
従来,癌患者の理学療法は乳癌切除後の肩関節拘縮予防,リンパ浮腫の軽減,骨肉腫による切断後の義足,骨転移による骨折,脳脊髄腫瘍による運動麻痺,肺癌手術後の呼吸機能や肩関節拘縮など,主に運動障害に対する個別の理学療法が行われてきた.最近,癌においても治療成績が向上して延命治療が可能になるに従い,様々に変化する癌患者の状態に即した理学療法が求められるようになってきた.QOLの向上に貢献する,循環器呼吸器,消化器,神経,骨など多臓器の傷害に対し,急性期医療,緩和ケア,地域医療などに及ぶリハビリテーションを包括し,全身的な障害を対象にした包括的な理学療法が必要とされつつある.本稿ではこうした包括的理学療法を行いえたと思われる症例を通じて,今後の癌患者に求められる理学療法を考えてみたい.
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