特集 精神疾患をもつ患者の理学療法
自殺企図のあった患者の理学療法―分裂病患者を中心に
三木 晃
1
Miki Akira
1
1藍野病院リハビリテーション科
pp.389-394
発行日 2000年6月15日
Published Date 2000/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105560
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1.はじめに
精神障害は決して特殊な病気ではない.このストレス社会において誰もがかかりうる可能性のある身近な病気である.分裂病の発病率だけみても,文明社会では100人に1人弱といわれており,職場,学校でのつまずき,家庭内での葛藤などのストレスが誘因となって起こる.その結果,自殺という不幸な事態を招くこともある.
ところが,こころの病気を専門的に扱う精神科に行きにくいことも事実である.「内科に通っています」とはいうが,「精神科に通っています」とはなかなかいえないものである.精神障害という言葉だけで誤解や偏見,いわれのない差別を受けたりもする.昨今のテレビや新聞の報道には,誤解を生むような批評,批判的報道が多い.精神障害は“こころの病気”であるという正しい知識と理解が必要である.
本稿では,まず,藍野病院リハビリテーション科理学療法部門の特徴を報告し,次に分裂病を中心に,心理状態の把握,能力障害の捉え方,対応の基本的態度,臨床での対応などについて触れる.
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