特集 関連領域―代謝疾患と理学療法
ポルフィリン症と理学療法
矢野 雄三
1
Yano Yuzo
1
1都立大塚病院
pp.799-806
発行日 1999年11月15日
Published Date 1999/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105426
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1.はじめに
ヘモグロビン,チトクロームなど体内には種々のヘム蛋白が広く存在し,それぞれ重要な働きをしている.このようなヘム蛋白のヘム部分を生成する系はヘム合成系と呼ばれているが,その途中でいくつかの種類のポルフィリン体を経由することから,ポルフィリン代謝系とも呼ばれる(図1).
この系には8つの酵素が関与しており,そのうちのいずれかの酵素に異常が生じると,ヘム産生量の減少とポルフィリン体またはその前駆物質の過剰蓄積が生じ,その結果,種々の臨床症状を呈してくる.これがポルフィリン症と呼ばれる一連の疾患で,現在までに8つの病型が知られているが,主たる酵素異常の存在部位から肝性と骨髄性に,また,臨床症状の違いから急性ポルフィリン症と皮膚ポルフィリン症とに分けられる.ごく一部を除いて大部分のポルフィリン症は遺伝性の疾患である1).
これらのうち,リハビリテーションの立場からは高頻度に四肢麻痺などの神経症状を呈してくる急性ポルフィリン症が重要であり,本稿では急性ポルフィリン症のうちの代表的な病型である急性間欠性ポルフィリン症を中心に,その生化学,病態,臨床症状,リハビリテーションを含む治療について述べたい.
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