Japanese
English
神経疾患アトラス1
ポルフィリン症
Acute Porphyria
矢野 雄三
1
,
室 隆雄
1
,
和田 攻
2
Yuzo Yano
1
,
Takao Muro
1
,
Osamu Wada
2
1東大医学部第三内科
2東大医学部衛生学教室
1The 3rd Department of Internal Medicine, Faculty of Medicine, Univ, of Tokyo
2The Department of Hygiene and Preventive Medicine
pp.543-546
発行日 1973年5月1日
Published Date 1973/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203313
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ヘム合成糸の先天的な異常による疾患であるポルフィリン症には,いくつかの病型が知られているが,いずれもヘム合成系の律速酵素であるδ−アミノレブリン酸合成酵素の異常誘導によるポルフィリン体の過剰産生を共通の特徴としている。一般に,ヘム合成系の代謝異常の存在する場所により,肝性および骨髄性の二群に大別され,さらに,それぞれいくつかの亜型に分けられるが,神経症状,腹部症状,精神症状などを呈し,内科,精神科,あるいは外科を訪れるのは,すべて肝性に属するものであり,急性間歇性ポルフィリン症(Acute intermi—ttent porphyria, A.I.P.),異型ポルフィリン症(Vari—egate porphyria, V.P.),遺伝性コプロポルフィリン症(Hereditary coproporphyria, H.C.P.)の三型が知られている。この三型は,急性ポルフィリン症(Acute po—rphyria)と総称されることもあり,臨床症状だけから区別することは困難なことが多く,通常は,尿および糞便中のポルフィリン体およびその前駆物質(Porphobi—1inogen, PBG,およびδ−Aminolevulinic acid,ALA)を定量することによつて鑑別する。急性ポルフィリン症は,すべて常染色体優性に遺伝し,その頻度は諸外国ではほぼ10万人に1.0〜1.5人といわれているが,我が国では1972年6月現在,正式に報告されたものは113例にすぎない(第1表)。未発表例,未発見例,あるいは急性腹症や原因不明の多発性神経炎として誤診されている症例が少なくないものと考えられる。
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