特集 関連領域―代謝疾患と理学療法
糖尿病患者のリハビリテーション
高塚 博
1
,
安藤 德彦
2
Takatsuka Hiroshi
1
1横浜市脳血管医療センター
2横浜市立大学医学部リハビリテーション科
pp.785-792
発行日 1999年11月15日
Published Date 1999/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105424
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1.はじめに
代謝性疾患における機能訓練上の留意点は,代謝性疾患が直接,神経,筋,関節を障害することと,呼吸・循環系への影響から全身機能の低下・体力の低下を生じることの両面を考慮して,訓練負荷量と生活活動量を定めることである.それぞれの疾患の重症度によっては訓練の禁忌があるが,疾患の状態に十分留意した機能訓練は,機能維持・改善に有効であることも明らかである.各代謝性疾患の発症メカニズム,神経症候の特徴と機能予後を理解することは,リスク管理上および訓練プログラムの立案に有用である.
糖尿病は1つの症候群であって,インスリン分泌の低下とインスリン作用の低下の両方またはいずれか一方により生じ,その特徴は,慢性の高血糖と糖代謝,脂質代謝,蛋白代謝の障害である.長期間の代謝異常の結果,様々な合併症を発症する.糖尿病合併症は,無症候であるのが普通であり,無症候性心筋梗塞など重篤な全身合併症への注意,末梢循環不全に対する訓練時間,休息時間の設定が重要である.また,運動訓練に際して,低血糖症状とケトーシスの理解が必要である.
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