Case Presentations
小児の嚥下協調障害に対する理学療法
臼田 由美子
1
,
重田 誠
2
,
清水 信三
2
Usuda Yumiko
1
1群馬県立小児医療センターリハビリテーション科
2群馬県立小児医療センター内科
pp.209-214
発行日 1998年3月15日
Published Date 1998/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105037
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Ⅰはじめに
小児科領域の理学療法において,摂食・嚥下障害が問題となる症例は少なくない.摂食・嚥下障害は患児や介護者の生活を大きく制約するばかりでなく,脱水,栄養障害,肺炎,呼吸障害など生命予後に関する問題と直結しており,全体的な発達障害とも相互関連が高い項目である.また,長期にわたる経口摂取の未経験や異常な摂食パターンの放置は,異常知覚,逆嚥下,丸飲み込みなどの異常発達につながることから,他の運動障害と同様に早期からの計画的な介入が重要となる1).
当リハビリテーション科の摂食機能訓練の主な対象は,神経・筋疾患に起因する症例,小顎症や口唇・口蓋裂など器質的異常に起因する症例,嚥下機能の未熟性や低反応性による嚥下協調障害などである.そのうち神経・筋原性の症例は,取り込みから嚥下までの一連の運動・感覚・反射に問題があり,運動発達訓練と合わせた長期的な個別訓練が必要となる症例が多い2).そのため,地域の療育施設の言語療法士と連携した取り組みが必要となる.また,器質的な摂食・嚥下障害の症例では,外科的対処が必要な症例も多い.検査所見をもとに摂食の可能性と限界を検討し,必要に応じて指導を行っている.
以下,当センターにおける嚥下協調障害への取り組みについて,症例経過と合わせて紹介する.
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