とびら
「力愛不二」そして人との出合い
弓岡 光徳
1
1誠愛リハビリテーション病院
pp.781
発行日 1997年11月15日
Published Date 1997/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104874
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学生時代,北九州で少林寺拳法を少し学んだことがあります.その時に教えを受けた言葉が「力愛不二」です.その意味は,力がなければ愛だけではなにもなすことができない,ということだと思います.なにごとも三日坊主なので拳法の練習は長続きしませんでしたが,その教えは深く私をとらえました.その後,もう18年前になりますが,理学療法士として,中枢神経系に障害をもつ患者さんの治療に携わるようになり,自分の治療技術の未熟さを痛感するようになりました.そのころ一般的に使われていた治療技術では目の前の患者さんを,ていねいに効果的に治療することができなかったのです.
そのようなある日,たまたま出掛けていった長崎での成人片麻痺患者の講習会でボバース記念病院の古澤正道先生に出合い,そのすばらしい治療技術に感激しました.痙性と痛みで動かすことのできなかった脳卒中患者さんの肩が,治療後,患者さん自身で痛みなしで,前方に挙上できたのです.
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