連載 私の一冊・19
茨木のり子との出合いと別れ
久保 成子
pp.848-849
発行日 2006年10月1日
Published Date 2006/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100378
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いかなる権威にも「倚りかからず」
――詩人;茨木のり子が逝ってしまった,今年の2月に註1。 もう数十年も前のこと。教え子数人が「先生のような女です」と言って,1冊の本を私に手渡した。その日は私の誕生日だった。『自分の感受性くらい』というタイトルの茨木のり子の詩集。「どんなところが?」と問う私に,「雰囲気が」と,彼女たちは言った。それぞれの作品を興味深く読んだが,なぜか深入りすることもなく,表題になっている詩の最後の3行“自分の感受性くらい/自分で守れ/ばかものよ”という言葉だけが一人歩きしていた。そして時が経った。
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