特集 関連領域―腎障害と運動療法
脳血管障害を合併した血液透析患者の理学療法―問題点と注意点
松永 幸浩
1
,
安倍 基幸
1
Matsunaga Yukihiro
1
1三井大牟田病院リハビリテーション科
pp.487-491
発行日 1997年7月15日
Published Date 1997/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104814
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1.はじめに
我が国における慢性腎不全による血液透析(以下HD)患者の総数は1995年末現在で15万人以上を数え,年間死亡者数はその1割近い状況にある1).HD患者の死亡原因として脳血管障害(以下CVA)は全死亡数の13.5%に達し,心不全の25.4%,感染症の13.8%に次いで第3位を占める重要な合併症となっている1).
1983年の調査開始以来,基礎腎疾患の70%以上を占めていた慢性糸球体腎炎は1995年末現在,55%前後と年々減少傾向にあるが,その一方で,当初7%であった糖尿病性腎症は現在20%以上を占めている.今後も糖尿病性腎症の急増が予測され,それに伴いCVA合併患者も増加すると推測されている3).このことにより,ますますリハビリ対象者が増えることが予想される.しかし,理学療法分野のなかで,CVAを合併するHD患者の報告は少なく,理学療法上の注意点など不明な点も多い.今回,当院にて理学療法を実施したHD患者でCVAを合併した患者について調査・検討したので,その結果の報告と症例を呈示し,若干の文献的考察を加えて理学療法実施上の注意点を述べることにしたい.
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