入門講座 社会福祉施設における理学療法・4
身体障害者療護施設における理学療法士の役割
谷口 政隆
1
Taniguchi Masataka
1
1今治療護園
pp.272-279
発行日 1997年4月15日
Published Date 1997/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104757
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
昨今,福祉という言葉をよく耳にするようになった.我が国の福祉といえば,世間一般には,これから訪れるであろう超高齢化社会に対する対策および具体的な施策として捉えられることが多い.現実に高齢化社会を迎え,人口の15%が高齢者という時代になっており,西暦2002年には人口の4人に1人が高齢者という時代が到来する.そのような時代背景により,1989年には高齢者保健福祉推進10か年戦略(ゴールドプラン)が策定され,1994年には新ゴールドプランとして,より具体的に高齢者福祉を推進することとなった.また,今後創設されるであろう公的介護保険により,高齢者保健福祉施策はより一層充実したものとなるだろう.
一方,近年の障害者対策も,国際的な進展に伴って計画的に推進されてきており(表1),障害者福祉も着実に前進しているといえる.そのような中にあって,身体障害者療護施設(以下,療護施設)は,障害者プラン(ノーマライゼーション7か年戦略)によれば,施設サービスの充実を目的として,平成14年度までに現在7万人(平成7年度)の1.5倍に相当する2.5万人定員を目標として整備されることになっている1).そのような状況に伴い,社会福祉施設の数は今後,着実に増加するであろうし,そのなかでの理学療法士の活躍が期待されるところである.
本稿では,社会福祉施設の1つである療護施設について,その目的や機能について解説しながら理学療法士の役割について述べることにする.
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.